今週のお題「苦手だったもの」
「口から先に生まれてきた」「お前は口だけは上手い」などという暴言をよく吐かれます。失礼な。
そんなに口が上手ならもっとお世辞を言ってると思います。まあ、褒めるところも見つからなかっただけかもしれませんが。
そんなわたしですが、昔、「自分はしゃべるのが下手だ」と思っていました。
中学高校と、友達を作らない子供でした。
友達になりたくないやつしかいなかったからです。
陰口が大嫌いだと、女子校では生きていけません。注意しましょう。
というわけで、「自分は話すのが下手なのだなあ」と思って就職活動を始めました。
ある面接官からも、次のように言われました。
「君はさあ、営業やるっていうことをどう考えてるのかなあ。まずね、その見た目からして営業向いてないよね。話し方も暗いし」
はらわたが煮えくりかえりました。よっぽど水かけて帰ってやろうかと思いましたが、一応世間体があるのでこらえました。
そういうことも重なり、「自分はつくづく話が下手なのだなあ」という敗北感だけが募っていきました。
そんなある日。
友人とともに、オリジナル同人誌即売会に出ました。友達の売り子兼暇つぶし相手です。
そして数時間経つと、友人は「ちょっとトイレ行ってくるから」と席を外しました。
めちゃくちゃヒマになりました。
当時は携帯でネットがあんまし普及してなかったし、そもそも同人誌即売会などは電波が通じないものの代表格です。
さらに同人誌即売会というのは女性が多く、トイレが一番並ぶというくらい時間かかります。
あまりにヒマだったので、脳みそがショートしたのでしょう。
「よし、ここにある友達の同人誌、全部売ってみるか。帰ってきた時喜ぶぞ」
まずもう一回友人の同人誌を読み返します。セールスポイントを脳裏に叩きこみました。
通ってる客を見ます。友人の同人誌はSFでした。SFが好きそうなタイプを探します。
で、見つけ次第声をかけてみました。
結果。
友人が帰ってきたので言いました。
「おーい在庫どこー? ここにあったの完売したよー」
友人がめちゃくちゃ驚いて喜んでいました。残り在庫も全て売り切りました。30冊くらいでしょうか。
それでわたしは思いました。
「あれ、わたし話すの下手だと思ってたけど、そうでもなかったっぽいな?」
そういえば、かつて母親が言っていました。
「お前は話し始めるのが遅くてどうなるかと思ったけど、一度話し始めたら口から先に生まれてきたくらいおしゃべりだったわ」
なるほど。
自信が無いのと遅かっただけで、話すこと自体は別に不得意じゃなかったらしいです。
今では自分は話が不得意だとは思いませんが、暴言吐いた連中と面接官は、いまだに許してません。