たとなてかない

『た』い『と』る『な』ん『て』おもいつ『かない』という意味です。内容はフィクションですよ。

駄菓子屋と借りっぱなし


お題「『大人買い』するとしたら……」

小学校に上がる前まで、近所に駄菓子屋がありました。駄菓子屋で駄目の駄がついてるからって、建物のボロさが極まってました。なんかガレージか、コンテナか、そんなもんが築20年くらい経った感じの陋屋です。

売ってるのはソースせんべい、小さな瓶に入ったエセエーグルト、よっちゃんイカ、ケーキとクッキーの合いの子みたいなのにチョコレート掛けたお菓子、ガム、飴、などなど。

あと小さな袋に入った酸っぱいゼリーとかありましたが、わたしは1つも買えませんでした。

小遣いもらってなかったからです。

小学校上がったらくれるという約束だったんで、一銭も持ち合わせがありません。というわけで、駄菓子屋に行くときは、年長の友達に奢ってもらうこととなります。

子供心にけっこうしんどかったですね。

借りるばかりで返すことができません。当時いちばんのお気に入りは、ソースせんべいに駄菓子屋のおばさんがジャム塗ってくれるやつでした。これがなかなか頼めるもんではない。

お姉さん、っていったって小学2年生くらいですが、彼女が気を使ってくれてたまにみんなに奢ってくれました。ごめんお姉さん。

「小学校上がったらお小遣いもらえるから、絶対にその時返すよ」

しかしそれは叶いませんで。

駄菓子屋が潰れたからです。

まあ、建物がやばい上に、大家と店子で揉めてたらしいんですな。店子は借り続けたいけど大家は建物というか建物のようなもの、を取り払ってもっといい条件で売り払いたい。

そもそも建築基準法なにそれおいしいのみたいな建物ですから、近所の目もそこそこ厳しかったようです。

で、みごと潰れました。

我々子どもたちの意見など大人には聞き入れられません。

そしてわたしは借りを返す機会を失いました。

今考えたら現金で返せばいいんですけど、子供のことだからいくら貸したかなんて覚えてないわけですよ。ソースせんべいを3回くらい奢ってもらって、あとヨーグルトとチョコ菓子も買ってもらったくらいの感じ。

なんで、チョコ菓子とソースせんべいとヨーグルト買えばいいかくらいの感覚です。まだ物々交換の概念で生きてたわけですね。

もしいまもあの店があったなら、端から端まで大人買いしたいです。

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