最初にお断りしておくと、胸くそがとても悪く残虐な映画の話ですので、いやな方はお帰りください。児童虐待がテーマです。
なんとなくヒマだったんでアマゾンプライムを漁ってたら、ちょっと気になってた映画がありました。
『子宮に沈める』。
予告編『子宮に沈める』
『大阪2児餓死事件』が元ネタの映画です。
映画は最初、生理が来た母親から始まります。手をかけた弁当を作り、今時手編みでマフラーを編んであげるいい母親です。子供は2人、4歳くらいの女の子と赤ちゃんの息子。
旦那は忙しくて帰ってきません。つーか、浮気してたので妻子を捨てました。
これからこの母子の転落人生が始まります。
けっこういいマンションから引っ越し、シングルマザーとして働いても足りないので資格を取ろうと頑張ります。ところがろくでもない女友達に水商売を勧められ、あとはお決まりのように恋人が出来て子供が邪魔になりました。
ガムテープ貼って封印された部屋に子供は置き去りにされ、息子は死亡。娘はなんとか生き延びますが、戻ってきた母親に溺死させられます。そして母親は編み針を使って堕胎。
ラストシーンは子供の遺体を包んだ荷物のそばで呆然としている真っ裸の母親です。
タイトルが『子宮に沈める』で、冒頭が生理、ラストが堕胎。おそらく映画で起きたことは全て母親の子宮で起きたことで、堕胎によって全て『無かったこと』になりました。
そして母親は全て失って裸になりました、そんな感じです。映画としてはまとまってます。
ただ正直元ネタとなった事件を知ってると、『うーん』となります。
母親だけの責任じゃないと監督は言ってます。カットも全て定点で見せられるため、観客は『傍観者であったこと』を痛感する仕組みです。あなたの隣にもこんな追い詰められた母子がいるかもしれないよ、と。
それは分かるんですけどね。
元ネタの事件は、たどっていくと母親の母親、つまり祖母の世代から虐待が続いています。また母親は実の母親に捨てられ、義母にいびられ、父親が離婚したため中学時代グレました。この父親も教え子と結婚してるとかいろいろあります。
あと離婚は母親の浮気が原因です。
同じ事件を元ネタにした小説『つみびと』では、この辺に触れられていてさすがでした。
だいたい児童虐待事件ってのは、たどると三代くらい同じ事をやっています。最後の代で破綻したって感じですね。
どんな人にも親戚に1人は「あちゃー」な人がいると思いますが、だいたい次の世代にはあまり持ち越しません。持ち越しても次の代でなんとか立ち直ってるか、本人がなんとかなった場合がほとんどです。
ただ。
不運が連続して続いた場合、悲劇が起こります。
わたしたちに出来ることは、まわりにいる困った人をあんまり見捨てないで、受けいれていくことなのかもしれません。