免許取り立て半月以内に、北海道旅行をしたことがあります。車で。
旅行の5日を入れて、その後人生で10日以上4輪車を運転していません。友人知人家族からは、「お前の車に乗るのは死ぬのと同じ」という評価をいただいています。
さてそんな話はともかく、女3人(うち運転者2名)で北海道をドライブ。いやー北海道の道って素晴らしいですね。まっすぐで道の先が青空に飛び込んでいくような感じ。
直線しか運転したことないや。
そんな北海道では、おいしいものもたくさん食べました。札幌のジンギスカン店『だるまや』の羊肉とか、小樽のお寿司とか。
それでも一番覚えているのは、居酒屋で食べたメロンです。
居酒屋で適当に飲みつつ食事をして、締めに甘いものを頼もうとしました。メロンがあります。500円。まあ適当だろうと頼みました。全員分。
たぶん、くし形に切ったやつが出てくるんだろう。それくらいの感覚です。500円だし。
とんでもない量で出てきました。
メロン半玉。しかも赤玉メロン。
しかも、上にバニラアイスクリーム付き。
我々は言葉を失いました。すげえ。なんてすばらしいんだ北海道。500円でこのメロン。
もうアイスくらいしか入らなさそう、という腹の容量を除けば。
「……意地でも食べるよ、メロンだもん」
「……あ、甘いものは別腹っていうから」
我々はスプーンを取り上げました。その時、ひとり沈んでいる友人に気がつきました。
「どうしたの、悲しそうな顔して。おなかいっぱいなの?」
「ちがうよ」
友人はいいました。「私、子供の頃から、一度メロンをこうやって半分にきって全部食べたかったんだよ。いつも兄貴に取られるし」
「……よかったじゃん」
「私の夢、500円で叶っちゃったよ」
小田和正の『言葉に出来ない』が脳内で流れました。
「しかも、おなかいっぱいだし。食べるよ?食べられるよ?でも、もっとコンディション万全で挑みたかったよ」
夢はわりとインスタントに叶うことがあります。が、それが幸せな結果かどうかは、ちょっと分かりかねるなと、友達を見て思いました。
それはそうと、メロンたべたい。