たとなてかない

『た』い『と』る『な』ん『て』おもいつ『かない』という意味です。内容はフィクションですよ。

昔と今とぜいたく

昔の料理ってのは贅沢だったみたいですね。天ぷらひとつとっても、揚げるタネがあるじゃないですか。そのタネ1つにつき揚げる鍋が1つ必要とかいう。

エビとさつまいもとれんこんが食べたいとすると鍋が3ついるってことです。ひええ。

同じ鍋で揚げると美味しくないんだとか。

そんな舌の肥えた人たちが絶賛する店が四谷の『丸梅』。

井上梅さんという人がやってた料理店です。お客は1日1組だけで完全予約制。たぶん紹介制じゃないですかね。

出る料理といえば、マロンシャンテリー、鯛茶漬け、野菜の胡麻味噌和えなど。昭和に入ってからはマロンシャンテリーと野菜の胡麻味噌和えはよく出たみたいですね。

マロンシャンテリーというのは東京會舘が発祥のお菓子。栗を刻んだので山を作り、その上に生クリームを掛けたのです。丸梅では栗とぶどう、もしくはメロンを和えたのが中身だとか。

素材勝負のお菓子なので、あんまり流行しなかったようです。わたしも食べたことありません。

野菜の胡麻味噌和えは、いんげんとかさやえんどうの基本的なものから、バラ、菊といった花が珍しい品です。全部の材料で上半分しか使わないんだそうです。味噌ももちろん自家製。

この2つはわたしでも作れなくはないですが、たぶん素材がバカ高くつきます。

究竟のレタスサラダと白菜の料理というのを聞いてことがあります。どっちも、6個だか10個だか材料を用意し、その中のいちばん柔らかいところしか使わないというのがミソの料理だそうです。

できるけどやらないってことたくさんありますが、これはそういう料理ですね。

ちなみにこの丸梅さん、すでに閉店しました。

1回行ってみたかったですね。おぜぜがいくらになるか怖いけど。