知ってはいるけどなじみのない野菜に、オクラがあります。個人的には「出されたら食べるが自分で買って食べるほどではない」カテゴリでした。
理由?
ネバネバしてて、包丁や食器洗うのがめんどいから。
納豆とかとろろとかも同じネバネバですが、納豆はパックから食べるようにしてます。とろろはすりおろさずに山芋の千切りで。
オクラはそういう逃げ道があんまし、ないです。まあ粘つかない食べ方もあるんでしょうが、そこまで調べるほどでもないかな、と。ごめんよオクラ。
ところでこないだ知ったんですが、オクラって英語でもオクラなんですってね。スペルはokra。もともと原産はアフリカ北東部、明治になってから渡来した新参者です。
同じ明治の新参者仲間にはすっかり「日本産ですけどなにか」みたいな顔した白菜がいます。ダウト。白菜お前はトルコか欧州の北東部あたりの出身だ。鎌倉武士が白菜の漬け物食ってても違和感がないけど初めて日本に来たのは明治。
それに比べてオクラなんぞは、昭和50年代に「ここ数年入ってきた」と名女優・高峰秀子さんから言われる始末。明治からいるよ。
なんでそんなに広まらなかったんでしょうね。やっぱり粘ついてて始末がめんどうだからでしょうか。
あとは料理法の広がりのなさか。白菜は漬け物でも鍋でも「もう君以外考えられない」ってほどの存在感を見せますが、オクラが必須の料理ってなんでしょうか。
たぶんマグロとトロのネバネバ丼とか納豆と混ぜるか、天ぷらか。そのあたりか。
田舎のばーちゃんに言わせると、「天ぷらにすればたいていのものが食べられる」ですからねえ。
逆にアメリカではめちゃくちゃ食べられているようです。小泉八雲が書いた『復刻版 ラフカディオ・ハーンのクレオール料理読本』によれば、ゴンボスープを始めとして4種類ほど紹介されてます。
なんせ『オクラまたはゴンボのおいしい調理法』とかいう項目まであります。
若くて柔らかいオクラ一パイントを細かく刻む。オクラの半量程度の熟れたトマトを用意し、皮をむいて加え、薄切りにしたタマネギ一個、バター大さじ一、塩少々、こしょう少々、水小さじ一を加える。柔らかくなるまでことことと煮込み、肉料理(牛、豚、鶏)に添えて出す。
ラフカディオ・ハーン.復刻版 ラフカディオ・ハーンのクレオール料理読本(Kindleの位置No.1080-1082).株式会社CCCメディアハウス.Kindle版.
1パイントは約0.47リットル。だいたい牛乳パック半分のオクラとすると、量が半端ないです。
こんなに食べられてるオクラですが、気になることがひとつ。
日本には『おくら』って読む名字の人がいるじゃないですか。小倉とか屋良とか。
アメリカ行ったらどういう扱いになるんですかね。
いっぱい調べたので2つ張っておきます。
- オクラの日本史 “オクラ入りから”から夏野菜の定番品に - 日本食糧新聞電子版
- 復刻版 ラフカディオ・ハーンのクレオール料理読本 | ラフカディオ・ハーン, 鈴木あかね |本 | 通販 | Amazon
- 榊原英資の食卓の向こうに
- オクラ、暑い日にさっぱり和風で? 実は「西洋野菜」 - 日本経済新聞
- 台所のオーケストラ (文春文庫) Kindle版
※1と4で、オクラが普及した時期が1970年代か、戦争中かという相違があります。6の檀一雄の話によると、幼年時代から普及してたというので、個人的には戦争中説を推します。