たとなてかない

『た』い『と』る『な』ん『て』おもいつ『かない』という意味です。内容はフィクションですよ。

ロールキャベツのロールの必要性

友人と話していて、「ロールキャベツはいちいち包む必要があるか」という議論になりました。もちろん2人して、『無い』という結論です。

いや、だって、どうせ食べる時に剥がれるじゃないですか。キャベツと肉が別々になるし。それなら肉団子とキャベツの煮込みでよくないですか。わたしはそれでいいです。

ロールキャベツの先祖はトルコあたりにまでさかのぼり、ドルマという葉で包む料理が元ネタです。あたりっていったのはこの辺歴史上入り組んでて、ペルシアとかまで出てくるから。

わたしがトルコ行った時食べたドルマは『イマーム・バユルドゥ(坊さんの気絶)』です。これは揚げなすにオリーブオイル炒めした野菜を詰めてトマトで煮て冷やした料理で、ちゃんとなすを皮にする理由があります。

冷たいなすが最初に口に入ることで、ねっとりしっとりした口当たりを強調させて、中身とのハーモニーを醸し出すんですね。

ロールキャベツは、べつにこのハーモニーがない。

キャベツはキャベツ。肉団子は肉団子。さながら冷えた仮面夫婦のよう。たまたまそこにいるから同類の顔してるけど本人達は別に愛はない。

その証拠に切り分けるとすぐどっかに行くし、一緒にする時もめちゃくちゃめんどくさいです。

キャベツをゆでて柔らかくして、そして芯のとこけずって平たくして、片栗粉まぶして肉団子のタネを入れて巻いて葉を押し込む。

「結婚したくないです」という連中を、仲人が四苦八苦して一緒にさせたようなもんです。

その点春巻きなんかは、片栗粉をといた水という助けは要りますが、一度巻いて油で揚げたらしっかり一緒になっています。

「もうアナタから離れない」春巻きの中身と皮とはしっかりくっついていて、切り離したところで美しい断面をみせてくれるだけです。これぞ夫婦円満

ちなみに本式、というかトルコのロールキャベツはもっと小さくて、指先ほどです。これならひと口で食べられるんで、切り分ける必要もなく、キャベツは肉団子の汁を吸い、肉団子は必要以上に肉汁を出すこと無くおいしく食べられます。

作るのがさらにめんどうな以外は理屈に叶っています。

たしかハンガリーとかだと、日本と同じくらいの大きさになります。が、中身は肉団子だけでなくお米も入ります。

ロールキャベツがよく剥がれる理由のひとつに、肉は熱を入れると縮むことがあります。なので縮んだ肉団子とキャベツは最初から隙間があるのです。

ですが、ここに米が入ると話が別。お米はスープ吸うと膨らんでくれるので、肉団子とキャベツの隙間をうまい感じに埋めてくれるわけです。

かくて、肉と野菜をかさまししておいしく食べられるんですね。

じゃあ。

日本式ロールキャベツなら、いちいち包まなくていいんじゃん。

そういう結論に、わたし個人は至りました。キャベツとひき肉のスープはうまいです。