たとなてかない

『た』い『と』る『な』ん『て』おもいつ『かない』という意味です。内容はフィクションですよ。

魯山人と茶漬けと胃弱

北大路魯山人といえば、まぁ美味しんぼ海原雄山のモデルとして知られてると思う。おそらく魯山人本人からしたら我慢のならないことであろうが。

まあ、我の強い人であったようだ。遠くはフランス、トゥール・ダルジャンまで行って、鴨のローストのソースが気に食わないから醤油とワサビで喰ったという人である。

ちなみにこの魯山人さんは、とてもお茶漬けが好きだったりする。

もちろん我々が思うよーなお茶漬けではない。永谷園のお茶漬けのもとをふりかけてお湯を注ぐなんて言語道断。

まずマグロ茶漬け、ハモ茶漬け、天ぷら茶漬け。変わったところでは納豆茶漬けなんてもんまで食べている。

しかもお茶漬けのお茶にまで指定がくるというやかましさだ。

ひょっとしたらこの人、胃が弱かったんじゃなかろうか。

残ってる料理方法を見ると、お茶漬けに粥、すりおろしたアワビやら、肉を先に焼いてから野菜を煮る魯山人すき焼きやらがある。

その他野菜の煮浸し、お造りなんかがお好みのようだ。

つまり脂っ気の強い料理はほぼ無い。琥珀揚げと名付けてた唐揚げくらいだ。

魯山人風すき焼きにしても、肉の油を焼いて落としてから野菜を煮たと考えると、なんか胃が弱そうである。

胃弱の疑いを持ってトゥールダルジャンの鴨エピソードを思い出すと、そりゃこってりした鴨の血のソースなんぞ受け付けなかっただろうなぁと思われる。

フランス料理がとにかくお気に召さなかったらしいが、もともと関西系で薄味好み、さらにお茶漬けが好みならコッテリしたソースは口に合うまい。

現代の背脂ラーメンなんか見たら卒倒しそうである。

美食家として知られる魯山人さんだが、レシピは現代に意外なほど見当たらない。めちゃくちゃ豪勢過ぎて作れないというより、たぶん現代人のコッテリ嗜好には合わないんだと思われる。

ラーメン二郎とか連れてってみたいよね。