たとなてかない

『た』い『と』る『な』ん『て』おもいつ『かない』という意味です。内容はフィクションですよ。

猫とトウモロコシ

むかし飼っていた猫は何故かトウモロコシの缶詰の水が好きだった。トウモロコシが好きというわけじゃないのである。粒トウモロコシが入っていた缶詰の、その水が好きなのだ。

トウモロコシの缶詰を開けてほっといたら、普段は台所テーブルに乗ってこない猫が無心に缶詰の中身を舐めていた。危ないから注意して追い払おうとしたら、大抵のことに無関心である猫がうなりを立てて威嚇してくる。

はておかしいと思い、ひょっとしてこの猫はトウモロコシの缶詰に入ってる水が好きなのかと与えてみた。猫は喜んで水を舐めていた。本体をやったら食べない。訳が分からない。

猫というのはそういう生き物ではある。

うちで飼っていた猫は20年生きたのだが、本物のカニよりカニカマを好んだ。塩分が多いので、飼い主はわざわざ流水にカニカマをさらして塩気を抜いてやる。

同じカマボコでは笹かまぼこも好きだった。しかしそれも仙台のやつしか食わないのである。それを細かく切ってやっぱり水で塩気を抜いたやつをご所望なさる。カマボコも好きだが、やはり仙台の笹かまぼことなると目の色が変わった。

しかし魚はそんなにお好きではなかった。

唯一好きなのはタラで、これをレンチンして冷ましてほぐしたものを最後までお好みになった。はっきり言って飼い主よりいいものを食っている。

ただし一等好きなのはあたりめである。あまりに欲しがるから、一時期あたりめを買わなかったくらいだ。忘れたころにあたりめを食べていたら、猫は忘れずにやってきて甘い声でねだりだした。

ふだんはなにをしようがにゃんとも言わないのに。もちろんこれも水で塩気を抜き細かくして差し上げた。めんどくさい。

さて現在。インスタのリールで猫動画を見ていた。すると、結構いるのである、トウモロコシ好きな猫が。うちのと違ってトウモロコシ本体に食らいついている。

一匹くらいなら誤差の範囲内だが、見てると結構トウモロコシ好きな猫は多い。

果たして猫にトウモロコシをやってもいいもんなのであろうか。

まあうちの猫は20年生きてるのだからだいじょうぶだと思うが。

調べたらペットフードにもろトウモロコシが入っていた。メキシコではトウモロコシを食べる猫もけっこういるそうだ。

年末に、インスタのリールでトウモロコシに食らいつく猫をみて、飼っていた猫のことを思い出した。

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