ちょっときいてくださいよ。あんりって名前。普通女性だと思うじゃないですか。
最近読んだ本の著者が『森本あんり』さんって言って、『反知性主義』とかいうごっつい本書いてるから「女性の研究者かー、へぇ」と思って調べるじゃないですか。
すみません、東京女子大学の学長さんで男性の牧師さんでした。ガチの神学者です。
先入観で物事を判断して申し訳ありませんでした。ごめんなさい。
で、この『反知性主義』が読みたかったんですが金がない。Kindle読み放題に入ってるので、そっちにあった『宗教国家アメリカのふしぎな論理』を読みました。
新書なんでわりと楽に読めます。
面白かったのは、アメリカの根幹に宗教的由来があること。
アメリカはピューリタニズムから始まったんで、そりゃそうですね。エリザベス女王の親父が離婚のために作ったイギリス国教会とは違い、清らかで優れた教徒であると。
そんでもって自分たちは意思の力でアメリカを作った、故に強い意志を持って頑張れば必ず成功するアメリカンドリーム。失敗したヤツは努力しなかった怠け者でろくでなし、という考え方があるそうです。
これ、あれだ。
ケーキを三等分出来ない人とかが許されない社会ですね。
じゃあお前らは世界大恐慌をどうして止められなかったんだよそのせいで世界中偉いことになったし太平洋戦争起きたじゃないかとかいろいろ思いましたがそれは置いといて。
さらに突き詰めると「成功したやつは神に選ばれ許されたエリート」という考え方もあるそうです。先祖がピューリタンで移住してアメリカつくって成功したんだから、成功者は先祖と同じく神が祝福してるという考え方だそうで。
だからトランプ大統領とかが支持されるそうです。成功してるから。
その上、権威に反抗するというお国柄があるそうです。自分たちの選択と意志力で頑張れば成功するので、お上からあれこれ指図されるのは余計なお世話です。故に銃をもって自立し健康保険は入りたいヤツだけ入ればよいし、教育は親が選ぶべきものであって、国から強制されるものでないと。
生まれつきの弱者とか不運な人とか許されなさそうです。
わたしはひどい近眼なんですけど、たとえばわたしが貧乏な生まれでメガネ買えなかったらなにも出来ません。メガネを買う元手がないわけですから。
でもたぶん、彼らの主張ではわたしが努力しない怠け者となるわけです。つらいなー。
ちなみに権威というのは、知的エリートも含みます。高い教育を受けた人で成功者ですね。おかしなことに、自分も努力して勉強すりゃいいのにそれはしません。
知識をもって正論を言うのは権威であり、それは逆らうべきものであるという考え方になるそうです。だから反知性主義。
金持ちで成功してるやつへの独特すぎる劣等感が見えますね。
ところで、日本でもちょっと前に、なんでもかんでも批判し、成績のいいやつを小馬鹿にして、ノリだけがいいお調子者がもてはやされた時期がありました。
なんだか他人を笑えないですね。