書店は日本の津々浦々にあります。昔からやっている書店は別として、たいていは大規模商業施設の中や、大規模書店として産声を上げます。
ひと昔前には、銀行さんの跡地に生まれる書店もたくさん。銀行さんはプライドが高いので、自分の跡地には、
「できれば知的でかしこい書店さんに使って欲しいなー」
と思っているそうです。あくまでウワサです。
大きな書店が生まれると、取次さんがとっても喜びます。たくさん売りつけられるからだそうです。
さて、そんな理由で生まれた書店たち。最初は目新しいのでたくさんのお客が来ます。カフェ併設や座れる椅子を用意して、みんな楽しそうですね。
あれ? なぜか去って行く人たちがいます。何故でしょう。
「流行りの本ばっかりあって、目当ての本が見つからない」
「50巻も続いてる有名マンガはそろってるけど、自分の欲しい本はない」
ふしぎですねー。マンガ50巻そろいで買う人はいないでしょう。いても全国に数人じゃないでしょうか。だいたいマンガ50巻って重さだけでも相当でしょう。
真ん中の巻だけ買うにしても、そんなにたくさん買わないと思いますが。毎日新刊はたくさん出るのに、書店に並ばない本が多いのはどうしてなんでしょう。
さて、しばらくすると開店効果も薄れます。パチンコ店などでは改築祝いをしますね。
書店では、棚の並びを変えてみます。
「なんか目新しいことをすれば、お客さんが戻ってくるだろう!
万引きするやつも、道が変わればやりにくくなるはず!」
さて、結果はどうでしょう。
あれあれ? なぜか去って行く人たちがいます。何故でしょう。
「配置が換わったから、目当ての本探すのがめんどくさい」
「昔の方が位置を覚えてたから、ぼーっと探せてよかった」
大変ですね。
書店は困るので、何度も何度も棚や配置を変えてみます。この頃になると、何故かやたらマンガコーナーが拡大することがあります。マンガは一番売れている出版物です。
そのため、おそらくマンガ担当の書店員さんが頑張って作ったマンガコーナーが出来ます。
なぜか一定の趣味に偏り、マニア的な書籍が並ぶことも。
あれれ? なぜか去って行く人たちがいます。何故でしょう。
「オタク臭くなったから行かない」
「マンガ以外が欲しかった」
いよいよ書店は困ります。そうだ! 名案が浮かびます。
「おしゃれな文具や雑貨を置いて、お客を呼ぼう!」
名案ですね。参考書を買う人がいれば、文具だって必要です。
あれれれ? なぜか去って行く人たちがいます。何故でしょう。
「百均のほうが安い」
「目当ての本がついに消えた」
ますます書店さんは困ります。そうだ! さいごの手段。
エロ本に頼りましょう!
そう、いつの世もエロは正義。エロならたくさんのお客が来るでしょう。やったね!
あら? なぜか去って行く人たちがいます。何故でしょう。
「なんか消毒剤みたいな匂いがする」
「エロばっかで入りにくい」
困りましたね。
だいたいこの状態になると、書店はしばらくして閉店します。万策が尽きました。
お疲れさまでした。
以上、わたしがなんとなく見てきた本屋の栄枯盛衰から創作した『本屋の一生』でした。本気にしないでくださいね。