たとなてかない

『た』い『と』る『な』ん『て』おもいつ『かない』という意味です。内容はフィクションですよ。

焼くのが本番

料理をしてる時、コンロでフライパンや鍋を火にかけていたり、オーブンに焼き皿を突っ込んでいたりする瞬間がいちばん、

「ああ、今こそ料理の本番!」

って気がするんですよね。

でも、料理するってのは火にかけてる時よりそれ以外の時間が圧倒的に長いわけですよ。下準備が買い物から、って考えると、へたすると数日単位。

まあそれは言い過ぎとしても、冷蔵庫から野菜や肉を取り出して

  • 皮むいたり
  • 切ったり
  • 刻んだり
  • 筋とったり
  • 量をはかり取ったり
  • 混ぜたり
  • 片付けたり
  • こねたり

するほうがよっぽど長いし手間がかかるわけです。

オーブンに至っては放り込んでほっとくだけ。「さあ皿洗いして片付けるぞ」タイムですよ。

なんで「火にかけてる時が本番」と思うようになったか。

よく考えると、たぶん料理番組のせいじゃないでしょうか。

「はい、今日はとーじまめ風ぎょうざを作ります。まずアイラップに合い挽き肉と刻んだニラ、ネギ、ゆでで刻んでしぼった白菜を入れます」

この時点で画面には刻んだニラとネギ、白菜と合い挽き肉がきれいなガラスの器に入って並んでるわけ。

ネギやニラの根元にあるあの紫のテープを剥がすとか、白菜の要らん傷んだとこ捨てるとか、合い挽き肉の入ったトレーのラップ取るとか、そういうしちめんどくさい作業は一切省略!なんですよ。

あの肉が入ったトレーのラップ、めちゃくちゃ取るときイライラするんですよね。とくに半分しか使わないで残しときたい場合。わたしなんか気が短いからびーってラップ破って済ませたい。でも残った肉を保存したいのでラップは残さなきゃならない。

でも、トレーの下でラップはくっちゃくちゃになってて、剥がすところを探してかーっと爪でひっかいて、なんとかいけば儲けもの。だいたい破れるんで、ラップを伸ばしてなんとかします。

どうにかなんないんですかね、あのラップ剥がし。

こういう地味にめんどい作業って、料理漫画やYouTube動画でもそんなにかかれてない気がします。撮れ高ないですもんねえ。

しかし、人生はTVでもマンガでもないんで、料理するたび紫のテープを野菜の根元から剥がし、ラップをとる手間をかけるわけです。

ついでに「あのオイスターソースどこいった」「こないだ買ったトリュフオイルはここにあったはずだが」などという冷蔵庫の片付け問題もあります。

そりゃ、火にかけてる時だけが料理っていいたくもなりますね。ほかのことあんまり考えず済みますし。

ただ、わたしたちは火を使うことで人類となりました。やっぱり、IHでもオーブンでも、熱を使うのが本能に刻み込まれてるのかもしれないですね。