昔の思い出、いえフィクションを書いた校正ブログがはてなブログさまに紹介いただきましたそうで、ありがとうございます。
正直たいした年数やってないので申し訳ない限りですが、そういえば大学卒業して初めてやったバイトが校正みたいなバイトだったなと思い出しました。
もちろんですがこの話もすべてフィクションです。
氷河期でどこにも職が決まらなかったので、半年くらいふて寝しようと思ったら母親に「働くか出て行くか選べ」と詰められました。新聞チラシに入ってたバイトを紹介されました。
そのバイトというのが誤字脱字探しです。職業人生の初っぱなからこれか。
まあ、その当時は文章読んで金もらえるとかラッキーとしか思ってませんでした。
さて、本題に入ります。
校正、というか誤字脱字探しというか、まあこの仕事ははっきり言うとあら探しです。人のミスをあげつらって金をもらえます。
ただし人間は正論を言われるとぶち切れる生き物なので、仕事をすればするほど怒られるという地獄みてえなループが完成します。
じゃあ、仕事しなかったらどうなるか。
当たり前ですが怒られます。
上司にぽん、と肩を叩かれて別室に呼ばれ、見逃したミスを指摘されて怒られます。勘弁して欲しい。
私も人間なので、ミスを指摘されるといい気分はしません。しかしミスをした事実は動かせないので、トイレにいってフリーザ様の真似をします。
--このわたしをコケにするとは、とんだおバカさんたちですよ。
おかげで少々のことではめげなくなりました。ありがとうフリーザ様。
しかし、なにがしんどいって仕事仲間からも仕事するとにらまれるという事実です。
校正というのは、作業過程の下流にいます。つまり校正がミスを見つけると、その仕事は差し戻しとなります。
想像して見てください。夜中の一時。コチコチと時計の秒針がなる中。仕事仲間全員から見守られながらカリカリ校正する姿を。みんなプレッシャーをかけてきます。
--いいか、なにもミスなんか見つけるなよ、みんな帰りたいんだからな。
そう、この段階でミスがなければみんな帰れます。家に帰って風呂に入るなり、ビール飲んで寝るなりできます。しかし、ここで誤字脱字が見つかれば、最低1時間は帰れません。
全ては私がミスを見つけるかどうかにかかっているのです。
残念ながら、こういう場合はほぼ百パーセントの確率でミスが見つかります。みんな疲れていて、現場猫さながらに「みんなやったから大丈夫だろ」と通してきます。
そして疲れているとミスは起こります。こういうときに限って、大見出しが全部ミスってる、とかいう事態が発生します。赤ペンを私が手に取るとびくっ、とする雰囲気がわかります。
私だって家に帰りたいです。
見なかったことにしたいとなんど思ったか。
でも、そうすると後で私がしこたま怒られます。
校正は仕事しても仕事しなくても怒られます。
ですから、どうぞみなさん、締め切りと仕事には余裕をもってお過ごしください。