たとなてかない

『た』い『と』る『な』ん『て』おもいつ『かない』という意味です。内容はフィクションですよ。

ウサギはみんな穴を掘る

うさぎ年なのでウサ公どもの話をします。

母はウサギ好き私はネコ好き、父はネコ嫌い*1。子供を尊重しない家庭だったので、ウサギが飼われていました。

私はウサギについて「わりとどうでもいい」という態度でいましたが、ウサギどもも私に関して「実にどうでもいい」という態度を取っていました。基本的にウサギは反応が薄い生き物のため、関心のない子供の興味を引きません。

しかしウサギを庭に出して散歩させる際、ネコだのトンビだのに襲われないように見張る役が必要です。

そしてそういう見張り番に子供が最適というのも実に理にかなっています。

だから私は「寝てたい」「本読みたい」「図書館行きたい」という意見を却下され、ウサ公どもの見張り番をさせられました。

ウサギは何羽か飼いましたが、ペットショップのウサどもは基本穴ウサギの子孫のため、みんな穴を掘るのが大好きでした。

一度、暇だったのでどれだけ掘り進むのかほっといたことがあります。1メーターくらい掘ったあたりでさすがに止めに入りました。これ以上掘り進められたら隣の家にまで貫通します。

こういう行動を見てると、あいつらはケージより土の上で飼った方が幸せなのかもしれないとも思います。

さらにウサギを飼うに当たって、私に押しつけられた仕事があります。

隣の家まで脱走したウサ公を引き取りに行くという仕事です。

これがめちゃくちゃいやでした。

隣の家は老夫婦と孫の暮らしで、庭には所狭しと盆栽が飾ってあります。盆栽の間はウサ公が隠れるのにちょうどいい隙間だらけです。さらに作業しやすいようにコンクリートブロックなどがおいてありますが、これをウサ公がいい隠れ場所にします。

ウサ公が逃げると私は母親にせき立てられて隣の家に行きます。呼び鈴を鳴らして、

「すみません、うちのウサギがそちらの庭に入ったんですが、捕まえてもいいでしょうか」

と説明します。

そしてばーさんとじーさんの視線の中、ウサ公確保に走り回ります。子供とウサ公というのは盆栽の敵の具現化みたいな存在です。ウサ公は盆栽をかじりかねないし、子供は盆栽をひっくり返したりこすって枝を折ったりしかねません。

そういう緊張とイヤな視線のなか、ウサ公の隠れ家の楽園みたいなとこを探し回ってとっ捕まえなくてはなりません。

つくづくいやな仕事でした。

これは隣の家のばーさんと母が不仲であるという、子供には知ったことのない要因で発生するイベントでもありました。

今でもウサギを見るたびに、穴を好きなだけ掘れる場所にいけたらいいねと思います。

 

 

 

*1:子猫に一週間で懐柔される