たとなてかない

『た』い『と』る『な』ん『て』おもいつ『かない』という意味です。内容はフィクションですよ。

総入れ替え制になる前の映画館

古い話をしますが、はるか昔の映画館ってのは総入れ替え制ではありませんでした。映画が終わると全員出ていって掃除……とかしません。そのまま2回目がスタートします。

なので、途中で入って映画を見る人がいます。エンディングまでみるじゃないですか。そしたら、自分が入ってきた時のシーンまで見ます。そしたら出ます。

今の映画館のマナーからしたらブチ切れられそうですね。

まあ、良識のある人は途中入場でも後ろにいます。そしてエンディングが始まると好きな席に座って、始まりから映画を鑑賞。

いい席が取りたいんで、わざと前の回に入ってる人もいました。まあほんとは1回分のチケットなんで、2回分のチケット買わないと違反なんですけど。

その頃は漫画喫茶とかありません。なのでオールナイト映画館ってのがありました。まじめに名作をみてる映画マニアもいましたが、終電逃した人が入ってきて寝てたとか聞きます。

このパターンだとオールナイト料金でチケット売ってた感じですね。

このころの映画館ってのは、なんかいい意味で雑な雰囲気がただよっていました。

「待ち合わせまで時間があるなあ。でも外にいると寒いし暇だな。コーヒーは飲みたくないから喫茶店はいやだし。

おっ見たかった映画やってるわ時間まで見てくか」

そういう使いかたも出来た時代です。

「じゃあ何度も映画みたい人はそのまま居座れば何度でも見られるじゃん」

理論上できなくもないですが、さすがにみんな1回分のチケットで見るのは1回分って空気感がありました。

この頃の映画館だとポップコーンとかも袋入りの、普通にスーパーで売ってるやつです。全部ガラスで出来た棚に入ってて、なんかちょっとほこりっぽい感じがするやつ。サッポロポテトとかせんべいとかも売ってました。

わたしは袋入りポップコーンを買って、予告編やってる時勢いよく開けてそこらにぶちまけたことがあります。未だに夜中思い出して叫びたくなる恥ずかしい経験ですね。つらい。

ところで面白い個人的経験則として、映画のつまらなさと乗客のマナーは反比例してるなあ、ってのがあります。たとえばポップコーンであっても、食べるとうるさいじゃないですか。

だから映画のうるさいところでみんな食べるわけです。銃撃シーンとかだと飲食タイム。みんな一斉にポップコーンを口に押し込みます。

でも、つまんない映画だと、だんだん見てて「あっ、これ外した」ってわかってきます。すると、どこかでせんべい食ってる音がしてきます。なんかみんなだらけてきて、あっちからこっちからボリボリバリバリ。

最後には抗議のように音が響きます。イナゴがもの食ってる感じですね。つまんない映画の醍醐味です。

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