たとなてかない

『た』い『と』る『な』ん『て』おもいつ『かない』という意味です。内容はフィクションですよ。

きみは百果園でフルーツ串を食べたことはあるか

今週のお題「ほろ苦い思い出」

新宿の待ち合わせというとアルタ前。東口にありますね。

といってアルタ前にはいそうですかと行けるようになるにはそこそこ時間が掛かります。人は何度か「♩新宿西口駅の前 カメラはヨドバシカメラ」と口ずさみつつ、

「東口にもヨドバシカメラがあるじゃねえか!」

という憤りとともに大人になっていくのです。あれ、罠ですよねえ。

さてそんなアルタ前、駅を背にして左にでかい看板がありました。『百果園』というやつです。

もちろん果物店です。ここでよく売ってたのがフルーツ串。メロンとかイチゴとかパイナップルとか刺して食べ歩きできるようになってるんですね。見てると美味しそうです。

しかし実に食べづらい。主に他人からの視線が。

新宿駅前でフルーツ串なんて食べてたら誰がどう見てもお上りさんです。今し方田舎から出てきて東京珍しいですはいみたいな感じの人ですね。

べつにそれはいいんですけど、新宿で「はいわたしはお上りさんです」というポーズでいると、客引きがとてもうるさいです。そりゃあカモがネギしょって歩いてるようなもんです。新宿でフルーツ串食ってるヤツを狙わないキャッチはいません。

というわけで、わたしは新宿では食べたことがありませんでした。ちなみに同店は有楽町にもあります。駅を背に交通会館を前にして右に行った角だったと思います。

有楽町は客引きなどいない街ですし、ゲーセンにも通ってたので、わたしはビタミン補給と物珍しさでフルーツ串を食べてみました。イチゴとメロンだったと思います。

これが結構おいしかった。

わりと新鮮で、酸っぱさより甘さが勝った感じ。いちごなんかひと口で頬張れないくらい大きかったと記憶しています。で、その次はメロンを試してみました。確か普通のマスクメロンだったと思います。

これも歩き食いするにはなかなかよかった。

問題は串を捨てる場所です。結局店まで戻って捨てたような気がします。

味を占めたので、新宿でも試してみました。パイナップル食べたような気がします。

なかなかの歯ごたえでした。そりゃそうですよね。でもジュースとか飲むよりよかったような気がします。

もちろん、真っ昼間からフルーツ串食ってるずうずうしさを絵に描いたような1人歩きの女にキャッチかけてくる人はいませんでした。年を食うとこういう時便利です。

それから新宿にもなかなか行かないうちに、コロナ禍となり、百果園は上野だけの経営となりました。

もっと食べておけばよかったと思います。

これから先は1文字もありません。もしよかったらご購入いただけるとわたしからメッセージが届きます。

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