たとなてかない

『た』い『と』る『な』ん『て』おもいつ『かない』という意味です。内容はフィクションですよ。

子供を無理に褒めるのはアリか

お題「他人の自慢話が大好きです。「バリモテます」「頭いいです」など、なんでも遠慮なく自慢してください。」

子供時代、わたしは国語だけはよく出来るというオタクにありがちな子供でした。作文はだいたいなんか賞とか貰えます。

まあ全国とか行かないあたりがあれなんですけども。

さてそんなある日、図画工作で絵を描くことになりました。ウサギを観察して絵を描けというやつだったと思います。

わたしの家ではウサ公を飼ってたので、うちに帰ってから適当にやっつけようと思いました。そうでない子は居残って描いてもいいという話です。

さて帰宅してうさ公を観察するとすこぶるめんどそうです。わたしはうさ公の輪郭と黒いところの毛並みだけ描いてとっとと終わらそうと思いました。

どちゃくそ手間がかかりました。

毛並みを一本一本描いてたので時間がかかることかかること。夜の8時くらいまで描いてた気がします。

なぜこんなことを始めたのか己を呪いました。

しかし提出してみたら評判がやたら良いのです。

まあ自宅でウサギ飼ってる有利があるんで、褒められても「みんなウサギ飼ってないしな…」と思うわけです。

なんか知らんけど教室の後ろの上の方に飾られました。

しばらくして廊下にいたら担任に声掛けられました。

「話があるんだが」

「はあ」

「おまえが描いたウサギの絵、評判が良くてな。校内金賞取れるんだ」

「へー、そりゃありがたいですけど、わたしんちウサギ飼ってるからズルっぽいですね」

「それでだなあ、お前作文でも賞とかたくさん貰ってるだろ」

「はあ」

「うちのクラスに不登校の絵の上手いのがいるだろ」

「いますね」

「今回の金賞、あいつに譲ってやってくれないか。お前は作文でも賞取れるけどあいつは絵しかない。

金賞取らせてやりたいんだ」

「いっすよ」

と言うわけで私の絵は銀賞。不登校くんが金賞となりました。

わたしとしてはうさ公の絵、「自分の家でうさぎを飼っている」というアドバンテージがあるので、賞はどーでもよかったわけです。むしろズルして申し訳ないくらいです。

ただ。

譲られたほうはそれでええんかいなと。

もちろん本人は知らない話です。わたしも黙ってたので、知ってるのは教師陣とわたしだけ。

でも、わたしだったら譲られるのやだなぁ、と思ったのです。

なんかアンフェアじゃないですか。

その先生はとてもいい人で、ダメな子を褒めて伸ばすと言う方針だったようです。

とはいえ。

無理やり褒めるというか、裏で工作してまで褒められて、それで本当にいいのかどうか。

私にはいまだにわからないままです。