暑くてやってられません。ひやしあめとかこういう時いいんですってね。飲んだことないんですが。
子供の頃に京都のトロッコ乗った時、売店にあったんですが飲み逃しました。身内がそんなもん買わんといったからです。飲んどきゃよかった。
まあ、ネットで冷やし飴の素とか売ってるんですが、それはそれでなんか風情がない気がします。
昔は地方でもそれぞれ豊かな文化があって、その地でだけ楽しまれていたようです。
たとえば西暦で言えば1958年、上皇陛下が美智子さまとご婚約なさり、映画『隠し砦の三悪人』が公開された年です。
この年に、名宰相っていうかバカヤロー解散で知られる吉田茂の息子、吉田健一さんが『舌鼓ところどころ』ってエッセイを出版。
いろんなとこにいってご飯食べた感想を書いた本です。いいなあ。
今では政治家の息子といえばあとを継ぐのが当たり前ですが、吉田健一さんは反抗して英文学者になりました。
吉田茂当人も外交畑から首相になった人なんで、政治畑そのものとはちょっと違ったようです。そんな人の息子ですから、中国とかで育ち、イギリスで学び、豊かな教養を身に着け、酒もずいぶん飲みました。
酒も飲むから美味いものにも通じてたわけですね。
で、広島や山形、長崎で美味いものを食べて書き記してきたわけです。
読んでると、竜宮城に行った気分になれます。
新潟では氷頭なます、筋子の粕漬けなどが出てきました。この当時は新潟の人は外食をしなかった、とかあります。
そりゃ新潟の米に筋子の粕漬けあったら、それだけで満足でしょうね。
神戸では、当時神戸港に船が入るため、バーがたいへんな種類の酒を蓄えていたとかいう話も。アドヴォカートとか卵のお酒なんて、昭和当時ではここでしか飲めなかったでしょう。
特に山形県酒田では、車海老、タイ、ハタハタの白子といったごちそうを3日3晩にわたって賞味。その中の辛子豆腐は、ネットで探しても山形産は見当たりません。最後に出てきたのはアワビのワタの吸い物。もう味の想像がつきません。
でも、今では、筋子の粕漬けもアドヴォカートもネットで手に入ります。むかしはその地方だけで楽しんでいたのでしょう。
だからこそ、昔の中国では「故郷のじゅんさいが食べたい」と、高級官僚やめて実家に帰っちゃった人もいるくらい。
なんでも手に入る世の中も素敵ですが、各地方でいろいろな味があった時代もいいな、と思います。