たとなてかない

『た』い『と』る『な』ん『て』おもいつ『かない』という意味です。内容はフィクションですよ。

ネットもビデオもない昭和の正月とは

季節感が半年ずれてる気がしますが、昭和も後半も後半に入った時代の正月について紹介します。

インターネットどころかワープロすらあるか微妙。ビデオすらなかったって時代、休みになにをしていたでしょうか。

答え・なにもしてなかった。

その頃の正月3が日ってのは、だいたいどこも休みです。つまりどこに行くことも出来ません。電車やバスは動いてるので、親戚や上司の家に行くことは出来ますが、あとは初詣くらいです。

その初詣もあんまり行きません。その頃は携帯用カイロなんてろくになかったし、安くて性能のいい防寒衣服も普及してなかったからです。

つまり無計画に「初詣でも行くかー」と外出して、3時間くらい並ぶと風邪引いて返ってくるとかいう話になります。しかも温暖化が始まってないので今より寒い。

それでもしっかり準備して並ぶ人がいたからすごいですね。

今は思いつきで行動しても大丈夫なんで、半日くらい並ぶことになりますが。

ということは、ひたすら家にこもることになります。

そのため、休みの始まる前から準備をしておきます。わたしの場合は図書館で本を借りることでした。なるべく分厚くて読みにくいやつ。

それでも、残念ながら年内に読み終わるので、その時点でやることは消えます。

一応ゲームはありましたが、テレビが各家庭1台しかないのでできるわけがありません。その頃の携帯ゲームというのはゲームウォッチのことです。

なので1冊だけ雑誌を買います。『ザテレビジョン』です。

レモンの表紙で有名なテレビをテーマとした雑誌ですね。2023年3月に休刊となりました。

年末には新年特別号とか年末年始特集号とか出るので、その分厚い雑誌を買って帰ります。目当ては年末年始のテレビ欄。

今日のようにテレビ欄を検索するとぱっと出てくるご時世ではありません。テレビ欄というのは新聞の一番裏についてるやつです。

しかし、新聞というのはお父さんが読み終わると所定の位置にしまわれるもの。そうでないと昭和型専業主婦系怪獣オカアサンに膝でどつき回されます。そのため、みたい番組があれば記憶しとくしかありません。

テレビしか見るものがない正月だと、これは死活問題です。なのでテレビジョンを買っとくと、好きな時にどんなテレビがやってるか調べられます。

テレビ東京なんかはこの時期に、『豪華!6時間ぶっ続け時代劇!』なんかをやっていて、雑誌で特集されています。豪華ですが、今考えると6時間同じ番組を放送するだけなんで、人手が要らず楽なんだと思います。

わたしはちょっと見たいんですが、親から却下されます。そして新春なんとかとかいうどーでもいい番組を見る羽目になります。

親も見たくて見てるわけではありません。他にすることがないだけです。父なんかは口を開けたまま寝てたりします。

さらに読むものが1つだけあります。新聞の元旦号です。この日の新聞は1年で1番分厚く、なんかいろいろ入ってました。あまりに暇だとこれを読むことになります。シンプルにつらいです。

友達と遊びにいったりしないのか、という意見があります。

しかしこの時代、連絡手段と言えば電話です。来客も「今駅についたよー」とか電話してくるので、子供がうかつに長電話などすればやはり親にどつかれます。

子供の人権などなかった時代です。

仮に友達といっしょに遊びにいったとしましょう。その間に親戚がきたらたいへんです。

親戚は親にお年玉を渡します。

ハイ問題です。

この場合、親がちゃんと子供にお年玉を渡してくれる確率はどれくらいでしょうか?

下手すると「あらお年玉とかなかったわよ」とか言われます。

そのため、暇でもしんどくても、絶対に家にいなくてはなりません。

暇でしかたなかった昭和の正月。

ある意味、普段とは違った時間を楽しめていた気がします。