子供時代、母から次のように言われました。
「お前は医者や看護師にはなっちゃいけない。おっちょこちょいだから、絶対に注射や薬を間違う」
なるほど、と思いました。確かにわたしはうかつなおっちょこちょいだったので、理にかなっていました。まあ、医者になれる頭があるかはまた別の話でしたが。
前にも書いたような気がしますが、日本一レベルが高いと言われる外科を抱える病院では、採用試験で手先器用選手権みたいなことをするそうです。
例えば米粒大の寿司をピンセットだけで組み立てるとか、15ミリの折り鶴を作るとか。
外科は手先の器用さが大事だからだそうです。確かに、ぞうきんも縫えないような不器用に、自分の内臓を縫って欲しいかといえばイヤです。
さて、最近はてなで話題の『脳外科医 竹田くん』。事実か否かは作者が書いていません。
仮にわたしが作者だとして、竹田くんがぞうきんを縫うシーンを書くとしたら、硬い生地にキレて糸を引っ張って切ってしまう、とかそんな感じに描写すると思います。
米粒大の寿司をピンセットで組み立てるというやつは、器用さだけでなく忍耐力も試しているんでしょう。細かい作業というのは自分の思うようには進まないものです。裁縫だと、引っ張った糸が針刺しの針にひっかかるとか。
そういう時にイラついてもしょうがないので、ひとつひとつゆっくり作業を進めていかないと終わりません。裁縫でさえそうなんですから、人の命に関わる仕事ならなおさら着実に進めてほしいところです。
ちなみに、『大口病院連続点滴中毒死事件』の犯人は、処理速度がかなり低かったといいます。ものごとをテキパキ進められないタイプの人だったわけです。器用不器用でいえば、不器用に入るタイプでしょうか。
医療関係者になる試験に、不器用かどうかは入れといたほうがいいような気がします。