たとなてかない

『た』い『と』る『な』ん『て』おもいつ『かない』という意味です。内容はフィクションですよ。

カレーの沼から抜けた話

食べ物にはこの沼にハマったらヤバいというジャンルがあります。個人的にはソバ、カレー、コーヒー、ラーメンなど。

このあたりはハマったら最後、終わりには飲食店経営というゴールが待っています。ちなみに飲食店の3年以内廃業率は7割。底なし沼過ぎます。

わたしはうち2つにハマりかけて、1つは抜けました。

かつてハマったのはカレーでした。

最初は無水カレーから始まりました。カレー粉入りヨーグルトに鶏肉を浸けておいて、ラタトゥイユを作りそれにヨーグルトごと鶏肉を入れて煮込むタイプです。これは今でもたまに作ります。

そこから、カレー粉入りヨーグルト漬け鶏肉の鶏肉だけ取り出して焼いてみたり、ラタトゥイユを作る前にスパイスを油で炒めて風味をつけたりしました。

スパイスを油で炒めるあたりからヤバくなってきます。まず、粉にしたスパイスよりホールのほうがよい香りが出ます。粉にしたスパイスが残りますが、それは混ぜてオリジナルカレー粉とします。ヤバさ激マシです。

この辺でカレー店を巡るようになり、「この店のスパイスはフェンネルが」とか言い始めると、ウザがられて友達が減ります。もともと友達がろくにいなかったので助かりました。

さてホールスパイスが欲しいな、となると、専門店に行って買うようになります。専門店といってもデパ地下にあるタイプではなく、在日インド人やパキスタン人、タイ人などが買いに来るガチの店です。単位がそろそろ1キロとかになってきます。

同時にスパイスのきいたタイ料理やメキシコ料理にも手を出すので、冷蔵庫にはナンプラーやレッドハラペーニョソースなどが並ぶように。

そして私はスパイスをすりつぶす石臼に手をかけ、脳内に電流が走るのを感じました。

このままカレー道を進むとそのうちインドに渡航します。ガンジス川の水を浴びて帰ってきて、帰国した頃には額にビンディ入れてサリーを着ます。

最後にはアニソンをBGMにした、『満月の夜に取ったスパイスで出来たカレー』なんぞという怪しい食品を出すよくわからん店を開いて1年で潰します。

そして莫大な借金が残り、ガチでインドに移住しようか考える自分が脳内にひらめいたのです。

わたしは静かに石臼から手を離しました。

そしてS&Bのカレー粉を買って帰り、カレーはそれだけを使って作るようになりました。

カレー沼はほんとうに深く、自分の生活と折り合いを付けて楽しむのが一番だと思います。

いまコーヒーにハマっていますが、コーヒーミルまでにしておきます。