かつて漫画『笑う大天使』でイングリッシュ・ブレックファストを知って以来、私は
イギリス式の朝食に憧れた。パリッパリに焼いたトースト、卵料理、絞りたてのオレンジジュース。
残念ながら、というか幸いにして、というべきか、私はイギリスにいまだ行ったことがない。大英博物館は見たいし、宮殿やスコットランドの羊やみたいものはあるが、どうしても食事に我慢ができなさそうなのである。
乏しい海外旅行の経験で悟ったのは、私は食事が合わないと旅が楽しめないということだ。スペインに行った時は後半からずっと塩おにぎり塩おにぎりと経文のように繰り返していたし、中国に行ったときはブラックコーヒーを探し回った。
なので旅行前にその国の料理を食べておいて、合うかどうか判断してから旅に出る。それを鑑みるとイギリスはしんどそうだ。たぶんおいしいところはおいしいのだと思うが、金がたいそうかかりそうである。
というわけで本式のイングリッシュ・ブレックファストにはありついたことがない。その代わり、私式ブレックファストを編み出した。
・熱い熱いブラックコーヒー。
・目玉焼き。両面焼きで、黄身がとろっと流れ出すくらい。
・ソーセージ。軽くゆでてフライパンで焼き目をつけたもの。そのあと目玉焼きを焼く。
・薄いトーストにバターをたっぷり。
目玉焼きにはとんかつソースをかけて、ソーセージにはケチャップをいやというほどかける。
このうち、ブラックコーヒーはかの名スパイ、ジェームズ・ボンドのお好みである。彼は目玉焼きとトーストとコーヒーがいいという。油っぽい食事のあとにブラックコーヒーはさっぱりしていいというのだ。私も同意する。
そして薄いトーストはイギリス人の真似をしてみて納得した。10枚切りの食パンを網、百均の魚焼き網を専用にしてガス火で焼くと、カリッサクッとした歯ごたえが楽しめる。そこに黄金のバター、バター、バター。裏まで染みこむくらい塗りたい。
そこにソースを絡めた目玉焼きと、トマトでうまみを添えたソーセージ。
これが私の理想の朝食で、めったにやらないものである。
なんせカロリーが怖い。計算したくない。金で体重が売れるなら売りたいくらいなのに、これ以上カロリー摂取はまずい。
というわけで、最近はコーヒーばかり飲んでいる。