たとなてかない

『た』い『と』る『な』ん『て』おもいつ『かない』という意味です。内容はフィクションですよ。

ウォーカーショートブレッド

お題「大好きなおやつ」

甘いものは、あまり好みではない。

子供の頃、チョコレートを食べると鼻血を出す体質だった。

そのせいか、甘いものは食べないようにしてきた。

脂と肉は、その代わりに山ほどたべたが。

そんな私が、仮に今後一生、これ1つだけしか食べられないというお菓子を選ぶなら、ウォーカーのショートブレッドを選ぶ。

ウォーカーショートブレッドは、イギリスの菓子だ。カロリーメイトみたいな形をしたクッキーで、脂っぽくて、こなこなしている。

そんなクッキーだが、実に素朴で、紅茶やコーヒーに合わせるとこれ以上ない、というマッチングを見せる。

ずっと食べていて飽きが来ない。1袋に2本入っているが、100本でもいけそうだ。実際はやらないが。

クッキーというのは実に食べるのがめんどうなもので、指に脂は付くし、1口で食べないと粉が落ちるし歯にくっつく。

ショートブレッドは、どうしても「さくっ」と半分に折らないと食べられない。歯ごたえを楽しむお菓子なのだろうと思う。そして粉が散るたびに、ああ、そうじがめんどくさいな、と思う。

思うが、コーヒーや紅茶を口に含むと、そのおいしさにやられる。不思議なことに、折らなければ食べられないのに、一度口に入ると粉に戻ってほどけていく。噛んだ瞬間に、バターと小麦粉と卵と砂糖を繋いだ魔術が解けていくようだ。その舌の上を、紅茶やコーヒーが通って混ざり合い、喉の奥へ落ちていく。

そういうショートブレッドと飲み物は、やはり寒い日がいい。そろそろ寒くなってくる。紅茶とショートブレッドの季節だ。