暦の上では立秋ですが、という前置きを何回聞いたことでしょう。太陰暦の話を太陽暦でやるのがおかしいんですよ。いっそちゃんと4月から春で立春、と決めちまったほうが楽な気がします。
わたしは最近クーラーを付けたまま生活してるわけですが、薄着をしてるせいで肌が乾燥して無駄に手入れをするはめになりました。もう秋が恋しいです。
せめて気持ちだけでも秋でいたい。というわけで秋を思って読む本を紹介します。
1.初秋 ロバート・B・パーカー
タイトルからして秋全開なですね。探偵小説ですが、謎というより引きこもり更生小説です。
主人公の探偵がちょっとしたきっかけで知り合った少年は、母親からも離婚した父親からも無関心な扱いを受けていて、気力がなく、やることといったら毛布にくるまってテレビ見てるだけ。
気の毒に思った探偵は少年の身柄を保護するといって一緒に暮らし始めます。
ともにログハウスを立て、料理をし、体を鍛え、洋服の買い方やレストランでの過ごし方まで教えます。
親代わりになってるわけですね。
少年は探偵が料理をすること、男が料理することにびっくり。このへんから関係が変わり始めます。
これは一対一でやっていて、あくまで無理にやらせてないあたりがミソ。誰からも興味を持たれなかった少年が、ちゃんと自分を見てくれるまともな大人に出会えたから成長できたわけです。
むりやりスポーツとかさせてもしょうがないどころか悪化するだけでしょう。
わたしは自堕落になったなと思った時この小説を読みます。
2.農場の少年 ローラ・インガルス・ワイルダー
『大きな森の小さな家』シリーズで知られるワイルダーの夫、アルマンゾの少年時代を書いた児童小説です。1年間の話ですが、ニューヨーク北部の話だけあって、7月に霜が出るというくらい寒いんで涼しさは楽しめます。
やっぱり農家といえば、豊穣の秋、収穫の秋。寒い中じゃがいもを植えるのも、雪の中で丸太を運ぶのも、みんな秋に報われると知っているから。
秋にはおおきなかぼちゃが取れ、麦がみのり、収穫祭では七面鳥やハム、レーズンパイにカスタードパイが出されます。
厳しい冬の描写も多い小説ですが、この暑熱の中ではかえっていいかもしれません。