わたしはあんまし魚類が好きなほうではありません。前にも言ったような気がしますが、都会で食べる魚はツナ缶とスモークサーモンくらいでいいと思います。
新鮮なお刺身やお寿司は、産地でいただくのがいいんじゃないでしょうか。
さて、かねてから読みたいと思っていた『サカナとヤクザ』をやっと読了しました。
やっぱり魚は都会で食べてはなんねえだ。
時折、「未来の漁業を守るために、漁獲高を制限しなくてはならない」という意見を聞きます。
聞くたびに「たぶん実現はしねえべさ」という考えがよぎります。ごめんなさいね。
だって漁獲量制限したとして、漁師はたぶん保証金が出るとしましょう。周辺の、漁具売ってる人とか、船大工とか、周辺の人はどうなるのか。
コロナ保証金を見る限り、たぶん周辺には出なさそうです。おしぼり屋さんとか氷屋さんとか確か出てなかったような。
それ考えるとはいそうですかと言えるわけがなく。そして、漁業ってのはだいたい地方でやってますが、国の今までの地方行政を見て信頼できるでしょうか。国が音頭取った結果が、今の地方の惨状です。
ということで、わたしは多分漁獲量制限は無理だろーなーと思ってました。
『サカナとヤクザ』を読んで、なおさら「ああダメだべな」となりました。
まあ、あの辺とヤクザの親和性はなんとなーくみんな思ってたわけですが、この本はそれを明確にしました。
北海道でヤーさんが鮭の密漁やってる、という話は、開高健のエッセイにも出てきます。イクラだけ取って鮭は捨てちゃうとか。昭和52年より前の話だそうで。50年前からやってるんですね。
『サカナとヤクザ』でも、北海道での密漁はバンバン出てきます。目次だけでもナマコ、カニをやってるそうで。
中でも面白かったのが根室のカニ密漁。なにせ、目の前が北方領土です。ソビエトのスパイやりながら、海保と警察と地元民の目をかいくぐり、闇の中で出航していきます。
『明け方、白い息を吐きつつ、漁船に乗っている壮年男性と、小さなその息子。向かいから来るのは、ソビエトの巡視船だった。彼らは、この時を待っていたのだ。ソビエトの許可を得てカニを捕れるその時を』
国境というのはドラマがありますが、このカニ密漁の話なんてそのまま小説になりそうですね。
不謹慎にも程がありますが。
しかし、読み終えて思いました。
やっぱり魚は都会で食べるものじゃありません。