たとなてかない

『た』い『と』る『な』ん『て』おもいつ『かない』という意味です。内容はフィクションですよ。

私が無敵だったころとM被告

どうにも私の書籍の趣味は殺人とかの本が多い。なんかの犯罪に巻き込まれようなものなら、間違いなく「とーじまめは日頃から殺人や犯罪に関する本を読みふけっていた」とか言われる。

おそらく最初に呼んだその手の本は『FBI心理分析官』ロバート・K・レスラーからだったろう。殺人犯の心理を探った本である。

で、なんでそんな本を読んだかといえばだ、原因は、M被告こと宮崎勤。東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の犯人である。

なんで彼は幼女を何人も殺したのか?しかもいたずらをして?分からない。全くもって分からない。当時私はそう考えていて、そして今でも分からない。

なにしろあの事件までの私は無敵だった。男でもなく、女でもない。ただの子供だ。スカートで逆上がりをしてパンツが丸見えになったところで誰もなにも気にしなかった。だって子供だもん。だれが子供のパンツなんか見たがるの?

膝小僧に擦り傷を作り、木があれば登り、崖があれば挑戦し、バッタも捕まえたし昆虫標本も作った。ケンカもしたし鬼ごっこも高鬼もやった。わたしがどんな格好でなにをしようと自由だった。子供であったから。性的なまなざしなんて私たち子供に向けられるはずがなかったから。

それが。

あの事件以来、激変した。

ロリコン、という言葉を知った。私たちのような子供を狙う連中だ。信じられなかったが、事実だった。つまり今までのようにスカートで逆上がりなんかしたらまずいのだ。ロリコンに目をつけられて誘拐からの殺人コンボが決まるかもしれない。

そんな確率はほぼ無いが、これまではゼロだったのだ。これは大きかった。

私の子供時代は、あの時ある意味で終わったのだと思う。そして私のような子供時代をおくる子供たちは、おそらく私たちの世代以降いなくなった。

それ以来、私はなぜあんな猟奇殺人が起きるのか知りたくなった。でも、未だに宮崎勤がどうして犯行に至ったかは分からない。

おそらくは、私は失われた子供時代をおいかけるために、猟奇殺人について調べ続けているのだ。