たとなてかない

『た』い『と』る『な』ん『て』おもいつ『かない』という意味です。内容はフィクションですよ。

はがしてたべよう

バームクーヘンと切り分けられたかけらとフォーク。吹き出しに『もっと大きく切れ!』クロワッサンとかバームクーヘンとか、無性に剥がしたくなる時ありませんか。つまようじとか取って、無心につついて剥がす。剥がす。

鉄の悪魔をつついてはがす。キャシャーンがやらねば誰がやる。キャシャーンやらなさそうですね。

宇多田ヒカルのもと旦那が作った映画版キャシャーン見たんですけど、予備知識ゼロで見たのと俳優の知識がまったくないせいで、

「誰がキャシャーンで誰が敵役なの?」とずーっと思ってました。キャシャーンが変身するまで。

ていうかあの映画中盤以降で予算使い切ったのが分かる感じで、後半以降ずーっと霧の中です。見てるほうも煙にまかれた気持ちなので通じあえますね。

それはともかく、剥がす話です。クロワッサンはともかく、バームクーヘンは剥がすのになかなか苦労します。戦法としては上の層からつついて行き、剥がれたところから爪楊枝をいれてつついてつついてと、キツツキみたいなことを繰り返します。

夜店の型抜きに似てますね。わたしは型抜きをおとなになってからやったんですが、「あ、これバームクーヘン剥がしたくなるやつだわ」と思いました。

さて、剥がしたバームクーヘンの皮はというと、ためといて一気に食べる人と、剥がした都度たべる人に分かれます。わたしは後者です。

どうしてかというと、「少しでも長くバームクーヘンを食べていたい」というケチが原因。

バームクーヘンというのは、だいたい切り分けられないまま売られています。そしておかんが切り分けますが、おかんというのはたいていケチなのでバームクーヘンを小さめに切ります。

子供時代は友達の家でも出されてましたが、経験上8分の1以上に切ってくるおかんは見たことありません。

下手すると「よくこんな薄く切ったな」ってバームクーヘンさえあります。自立しないやつ。そういう薄いバームクーヘンを長く楽しむために、剥がして食べるわけですね。

それと引き換えクロワッサンは別に切り分けない食べ物です。ですが、あの薄い層を見てると「引っ剥がしてやりたいなあ」って欲が湧きます。

バームクーヘンと違う点は、1枚1枚ではなく数枚まとめて剥がすところ。ぴりぴり剥がしていくと、いつ破れるか、破れないではがせるかというスリルが味わえます。

さらに剥がして食べるものには、最後に「剥がさないで一気に食べる」楽しみもあります。1枚1枚ていねいに剥がしてた層を、一気に噛み破る暴掠と快感。破壊には楽しみがあると感覚で理解できます。

まあ、もともとまとめて噛み破るために作ってる層なので、そっちのほうが正しいんですけどね。