登山は嫌いです。疲れるから。
でも、登山の動画を見るのは好きです。いいですね自然。のんびりゆったりした大自然の中で、コーヒーとか沸かしながら星の観察とか素敵ですね。動画で見てる分には。
実際にやったら、暑さ寒さ、匂い、そして虫、虫、虫に悩まされること確定。準備は楽しいですが、帰る時の後片付けがめんどうです。自然は動画で楽しむに限ります。
そんな自分にとって世界一縁がなさそうなのが、ヒマラヤ山脈です。
ちょっと前に『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』という本を読み終わりました。エベレストで遭難するまでの記録です。読んでて改めて思いました。登山絶対イヤ。
しかしです。
そんなヒマラヤ山脈、高度8000メートルを毎年飛んでる鳥がいます。アネハヅルとかいう鳥です。
この鳥は身体が小さい割に移動距離が多く、遠く東欧から中国まで渡って繁殖をします。正直バカじゃないかと思います。そこまで飛ばなくてもどうにかなるだろ。
その上なにが凄いってこのアネハヅルは、高度8000メートルのヒマラヤ山脈越えをします。なにが悲しくてそんな難行苦行をするのでしょうか。この鳥には手間を省いて楽をするという発想がないのでしょうか。
それは遙か昔、ヒマラヤ山脈がまだ平原だったころまで遡ります。アネハヅルはこの時代「あー平面飛ぶの楽だわ」みたいな感じで渡り鳥をしていました。しかしもちろんヒマラヤ山脈は隆起します。100年で8センチくらい。
忍者はアサの種をまいて毎日その上をジャンプするといいます。成長の早いアサは日々伸びるため、忍者のジャンプ力も上がるといいます。
アネハヅルとヒマラヤ山脈も同じです。毎年毎年高くなるヒマラヤ山脈を越え続けているうちに、8000メートルにもなった山を飛べるようになりました。すごいですね。
いや、一回考えろよ。
1000メーターくらいで「あ、これ迂回したほうが早くね?」とか誰も思わなかったのか。「めんどいからここで渡りやめるわ」という個体はいなかったのか。
ヒマラヤ山脈が出来るまで2000万年くらいかかってんですよ。2000万年の間にだれも「山越えるのヤだな」と思わなかったわけですよ。で、毎年毎年今もしんどい登山続けてるわけですよ。
それはそれですごい能力を身につけたと思いますよ。でも、どうして『迂回』という選択肢をとらなかったのか。人間でも稀によくありますよね、凄い努力だけど迂遠だなあってひと。
アネハヅルを見てると、そんなことを考えます。
参考資料
学長ブログ第1回「アネハヅルの訓(おし)え」 - 県立広島大学