たとなてかない

『た』い『と』る『な』ん『て』おもいつ『かない』という意味です。内容はフィクションですよ。

カルソネラ・ルディアイ

 カルソネラ・ルディアイ。なんかゲームのキャラみたいな名前ですが、細菌の名前です。なんでもキジラミとかいう昆虫の中に住んでる細菌だそーで。

 キジラミ、薄っ気味悪い名前ですけど、木シラミのことで、要するにアブラムシとかカイガラムシみたいな、樹液をちゅーちゅー吸って生きてるやつらのことみたいです。園芸やってるとムカつく連中ですね。

 で、このキジラミを滅殺したい。園芸プレイヤーのみならず全農民の悲願です。見蟲必殺。ただし迂闊な農薬を使うと沈黙の春みたいなことになります。

 なので、キジラミだけを殺したい。それにはどうするか。そうしてキジラミを調べるとカルソネラ・ルディアイがいた。

 こいつはキジラミの中で必要な栄養を作ってやる代わりに生かされてる細菌です。

 つまりこの細菌をぶっ殺せばキジラミも死ぬ。俺もおまえもみんなハッピー。ということになるそうで。

 長い前置きでしたけど、そんでカルソネラ・ルディアイの遺伝子を調べると、その数なんと生物界で最小。

 最小でも16万あるんであんまし実感ないのですが、これまで一番小さいのが45万。月給として考えるとめちゃくちゃ少ないのが分かります。

 ちなみに人間は約30億。億万長者ですな。

 セコい話はさておき、ここまでお賃金違うゲノム数が少ないと自活できません。

 じゃどうすんだよというと人間と同じで、実家に頼っています。カルソネラ・ルディアイの場合、キジラミに足りない部分を頼ってるわけです。

「いやー、ちょっと手取り少ないからさぁ、実家に間借りさせてよ」

「じゃああんた家賃出しなさいよ」

 つーわけでカルソネラ・ルディアイはキジラミに家賃がわりに必要な栄養素を作っています。その代わり、カルソネラ・ルディアイはキジラミの細胞を使って生活しております。ちなみにこの共生関係はその期間2億年。

 2億年間借りやってるわけですな。ここまで来るともはやミトコンドリアとか葉緑素とかのレベルになってきます。細菌辞めて細胞の器官になりそうな勢いなんですね。2億年かかってまだですけど。

 なんかカッコいい名前だなぁと思ったカルソネラ・ルディアイ、蓋を開けてみると間借り2億年とかいうすごいんだかすごくないんだかよく分からん生活をしてました。

 まぁ、こういう知識って知るだけでも面白いですね。

 

参考

『共生細菌から生物界で最小となるゲノムを発見
- キジラミに共生する細菌カルソネラの全ゲノム塩基配列決定 -』

https://www.riken.jp/medialibrary/riken/pr/press/2006/20061013_1/20061013_1.pdf