たとなてかない

『た』い『と』る『な』ん『て』おもいつ『かない』という意味です。内容はフィクションですよ。

目白くんのメダカ騒動

何を育てるのも下手という人はいて、私の上司はメダカでもインコでも死なせるとぼやいてました。

そりゃ、あんた部下育てるの下手だもんな。

こいつがヘボで救いようがないとほざいた人材、今私の下で立派に仕事してますが。

上司が子なしで良かったと思います。いたら子供かわいそうだわ。

さて、メダカさえ死なせる上司と違って、メダカ育て名人の目白くん(仮名)という子が私の小学校にいました。

アラフォーにしてメダカを死なせるどこぞの無能とは違い、目白くんはメダカを育てるのがとても上手でした。

あまり育て過ぎて水槽がなくなりバケツで飼い始め、お母さんからこれ以上増やすなと怒られる始末。

そんな目白くんがなぜか私のところに相談に来ました。

「最近メダカが行方不明になるんだ。お前図鑑とかよく読んでるから理由知らない?」

「メダカ博士に知らないと言われてもなぁ。なんか変わったことあった?」

「いや、ない。この3日で、水槽にいっぱい居たメダカが数匹になっちゃったんだ」

「えっ」

めっちゃ怪事件です。

「……水槽には何が入ってるの?」

「メダカと、ポンプと、水槽と砂利と、あぁそれから最近捕まえたザリガニ

 

私は目白くんに真実を告げるのをためらいました。

 

目白くんは数日前ザリガニを捕まえてヒーローになりました。さらにメダカもめちゃくちゃ可愛がっています。数匹から水槽3つか2つ、そしてバケツでまで増やしているのです。

そのメダカ愛を考えると真実を告げにくい。

しかし。まだ水槽にメダカは数匹残っています。彼らの命のために私を口を開きました。

「言いにくいんだけど……その……ザリガニてのは、雑食だけど肉食なんだ」

「え?ライオンと一緒なの?」

そうじゃないよいやそうだけどちがうんだよ。

「……ザリガニはメダカを食うんだ」

目白くんの顔を見ずに言ったと思います。

廊下に目白くんの罵声が響き渡りました。

「あの恩知らず!!!」

ザリガニにとっては最後の食べ放題バイキングだったことでしょう。

メダカについて思い出すと、目白くんの災難を思い出します。