たとなてかない

『た』い『と』る『な』ん『て』おもいつ『かない』という意味です。内容はフィクションですよ。

ぶ厚いパンケーキの欺瞞と自由

めちゃくちゃぶ厚いパンケーキはもはや定番だ。見るたびに思うのだが、あれはただのスポンジケーキではないか?

作り方は卵白を泡立ててメレンゲにして他の材料と合わせ、そして型に入れてフライパンで蒸し焼きにする。

いや、よく胸に手を当てて考えて欲しい。

……それはただのスポンジケーキじゃない?

ていうか、フライパンで20分もかかるなら、いっそオーブンに突っ込めばよくない?

私は常々オーブンとフードプロセッサーがなぜ日本のクソ忙しい家庭に普及しないのか疑問なのだが、プロでもなぜかフライパンを使ってるのを見ると?がわく。

もしかしたらわたしの知らないところでオーブンを使うと寿命が縮む陰謀論でも展開されてるのもかしれない。

話を戻すと、できあがったぶ厚いパンケーキは生クリームや果物で飾り付けられて食卓に運ばれる。

冷静に考えてみて欲しい。

生クリームとスポンジと果物。

それはショートケーキというものではないか。

もっともショートケーキの場合、きちんと生クリームをぬりつけるという過程がある。専門用語でナッペという。これはものすごく難しいと製菓学校にいった知人が言っていた。

私も一度回転する台にケーキをのせてナッペってみたが、これがうまいことナッペらない。クリームが均一に付かないのだ。そして側面がきれいにナッペったな、とおもえば、今度はてっぺんのナッペである。

てっぺんに生クリームをのせて、ケーキ用の生クリームをこすりつける専用のヘラでナッペる。なすりつけるというほうがただしい。回転盤をくるくる回してスポンジを回すとうまくいくが、いらなかった生クリームがはじによせられていく。

そのあまりをこそげとると、せっかくきれいにならした側面がだめになる。側面を直すと、はみだした生クリームがてっぺんに載る。てっぺんを直すと側面に、という無間回路が完成する。ナッペるのはむずかしいのだ。

しかしパンケーキならナッペらなくていい。なんかてっぺんとか皿に生クリームを鬼のように盛り付けとけばいい。そして果物をぱらぱらぱら。ほら完成。

そしてパンケーキにいつも思うのがその量だ。女のラーメン二郎といわれるほどの高カロリーであり、おいしいのは確かだ。

カロリー量としてはちいさめのホールケーキくらいだと思う。

なのに、ホールケーキ食いは正気の沙汰を疑われるがパンケーキは如何にあらずだ。

ショートケーキはもう少しパンケーキを恨んだほうがいい。

もっとも、パンケーキは食べ方が自由だ。

生クリームたっぷりがよければたっぷり。なしでもいい。生クリームと果物をあわせてもいいし、店次第だが蜂蜜をかけてもバターでもよい。

このへんの自由さがショートケーキにはない。果物と生クリームとスポンジは決まった量だけ配分されて食べることを強いられる。

おそらくパンケーキは自由のシンボルとして愛されている。