たとなてかない

『た』い『と』る『な』ん『て』おもいつ『かない』という意味です。内容はフィクションですよ。

有隣堂と崎陽軒

 

お題「地元では当たり前のものなのに、実は全国区ではなかったものってありますか?」

大学に行くまで、つまり東京都に通うようになるまで、有隣堂崎陽軒は全国区だと思っていた。

有隣堂を説明しよう。伊勢佐木町に本店がある書店チェーンである。色とりどりの文庫本カバーを選ばせてくれる書店として聞いたことがあるかもしれない。

この有隣堂、ほんとにどこにもあった。駅ならだいたいどこでもあったと勘違いするくらいには。というわけで私は大学に行った時、 紀伊國屋とか丸善とかを見てびっくりしたわけである。この世には有隣堂以外の大型書店があったのか、と。

ちなみに崎陽軒横浜市おなじみのシウマイ屋さんである。おそらく崎陽軒のおかげで横浜市のシューマイ*1消費率は2019年時点で全国一だ。

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正直横浜市民だが、そんなにシウマイを食べてるとは思わなかった。確かにシウマイは崎陽軒であり、他のシューマイを買おうという気がしない。なにしろあれは冷めててもうまい。硬くなったとこを醤油と芥子につけて食べるとそれだけで満足できる。

おかずが何にも無いときでも駅前の売店から15個入りシウマイを買ってくれば足りるから、ヨコハマの母親たちをずいぶん助けた惣菜ではないだろうか。

だいたいシウマイ弁当だってもちろんおいしい。

ただし、おいしいとはいえ、じゃあお土産にすると言われるとちょっと悩むとこがある。いや確かにおいしいがお土産にするほどか、といわれると困る。崎陽軒のシウマイは個人的かつ家族的な食べ物で、麗々しく飾り立ててよそ行きにするもんではない。

しかし神奈川県には崎陽軒のシウマイと鎌倉の鳩サブレーくらいしか鉄板の土産がないので、いちおう「好みがあるけど…」とか断りをつけることになる。だからこそシウマイはいいのだ。日常の食べ物だから、神奈川県民の愛するお惣菜として売れ続けてきた。

このお惣菜にケチをつけた事件がある。N国党主を批判したテレビ番組のスポンサーが崎陽軒だった。そのため、彼は崎陽軒不買を訴えたのだ。

この時の神奈川県民の怒りはすごかった。はっきりいって神奈川県民とか横浜市民という人々は、あんまり愛郷心がない。東京のおまけ、とか二番手とか言われてもそんなもんだと思っている。

しかし、そんな神奈川県民が怒り狂った。我々の愛する崎陽軒をバカにするとか何事だ。崎陽軒に罪はない。ノーシウマイノーライフ。シウマイ弁当は売り切れ、党首は崎陽軒批判を撤回するに至った。

崎陽軒というのはそれほど神奈川県に根付いているし、ちょっと大きい駅なら必ず売店がある。私は大学行くまで駅弁屋のことを崎陽軒というのだと思っていた。

さて、ちなみにここで豆知識。

崎陽軒の『崎陽』とは、漢文で『長崎』のことである。

崎陽軒長崎県だったのだ。

 

*1:ぜったいに『シウマイ』だ、という人がいるから一応断るが、日経が『シューマイ』って書いているのでそちらに行ってほしい