たとなてかない

『た』い『と』る『な』ん『て』おもいつ『かない』という意味です。内容はフィクションですよ。

陰キャ30人がキャンプしてみた

今週のお題「キャンプ」

私は大学時代、漫研という陰キャサンクチュアリみたいなところに所属していました。漫研の掟は2つ、下手でも1ページでも漫画を書くこと、そしてもう1つは卒業までに挨拶が出来るようになること。

我が漫研コミュ力はその程度です。

さて、そんな陰キャでも30人くらい部員がいて、夏には合宿という名の旅行に行きます。我々は陰キャなのでアルバイトなどというコミュ力が必要とされる行動はろくにできません。せいぜい会話が要らない試験監督がいいところです。

そんなわけで金がなく、故に合宿も貧乏になります。その年はキャンプでした。

まともな旅館に泊まるだけの金がなかったからです。

我々は自分たちにテントを張るような能力がないと知っていたので、一応テントの親戚みたいなものが張ってあるところに宿泊しました。

もちろん食事は自炊です。一応自炊スキルがある人材はいました。

さて、自炊といってもたき火を起こしてその火で食事を作らなくてはいけません。

薪は買いました。新聞紙もマッチもライターもあります。

我々は思い違いをしていました。

火なんか原始人でも起こせるんだから自分たちだって起こせるだろう。

もちろん、我々陰キャ30人、誰一人バーベキューなどという陽キャのイベントに参加した経験があるものはいませんでした。

つまり、火がおこせません。

新聞紙をひねって焚きつけにし、薪に火を移す、それだけのことができません。アウストラロピテクス以下です。人類史では50万年以上遅れを取っています。

あーでもないこーでもないと騒いだあげく、管理人のところへ言って風よけとコンロを借りてきました。ここで頭を下げて火をつけてもらうという考えはまるで浮かびませんでした。

そして着火剤の力を借りてやっと火をおこしましたが、火加減などできるはずはありません。結局我々はキャンプに来て菓子パンで食事を終えました。

やはり火は偉大です。人類は火を見つけ人類になったというなら、我々は未だ人類の端にも立っていなかったのでしょう。