犯罪やらかしたけど精神鑑定で責任能力なしとされた人のその後のお話。
ざっくりあらすじを説明すると、ブライアン・ベクトールドというツキのないおっさんの物語。
ブライアンは家族をぶん殴る父親と子どもに興味のない母親に育てられ、青年期に統合失調症を罹患します。ストレスにさいなまれた彼は両親をショットガンで撃ち殺しました。
「悪魔に取り憑かれてたけど神の導きで目覚めた」と逮捕後に語るブライアンは精神病院に直行。当時24歳。そして2021年に至るまで30年間精神病院に入院しています。
責任能力なしで入院すると、退院はいつか分かりません。寛解し、退院しても社会に害がないであろうと判断された場合に退院が認められます。この点、刑期が決まっている監獄の方がマシだと入院された人々はいいます。
病院の環境は刑務所より自由がなく、薬漬けにされ、治療もたいしてされません。担当医師がストーカーでとっ捕まったあげく統合失調症と診断される始末です。
医療スタッフも疲れ切り、サポートは望めません。このような自由のない環境から逃れたいとブライアン氏はあの手この手で頑張ります。
しかしブライアン氏は病院の規則に従えば「本当の病気を隠して小ずるく振る舞っている、危険だ」と判断され、従わずにいればもちろん「危険だ」と騒がれます。そして自由はどんどん失われていきます。
彼は自分の病は治ったといい、退院する権利を求めて戦っています。読んだ感じ、きちんとトレーニングをし、弁舌が爽やかで、問題がなさそうです。
病院側にもおそらく金がないから故の怠慢、いいかげん、てきとうがはびこっています。細かい規則で縛られたくないタイプの人はキツい環境と言えます。
しかしブライアン氏の退院は認められる気配がありません。
総合的に本書は責任能力なしの犯罪者における更生問題に一石を投じているでしょう。
以上あらすじ。こっから感想。
この話、犯人に同情的にはなるんだけど。
だけど。
だけどよ。
……犯人、殺して申し訳なかったって反省の色がまったく見られない。